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富士を対象に、移りゆく「光と水」の世界に挑んだ北斎 ― 葛飾北斎「富嶽三十六景」

 「四季晴雨風雪霧天の造化に随い景色の異るを筆端に著す」

 文政6年(1823年)に出された絵手本(教習本)に掲載された、「富嶽八體」(ふがくはったい)の広告である。
 四季、晴れ、雨、風、雪、霧といった自然現象の変化に従って、その景色を変える富士を筆で表わすとした北斎の意図は、後の「富嶽三十六景」に生かされ、続くものである。

 富士という一つの対象が、刻々と変化する自然の中で、異なる姿を見せる有様を、筆で描き尽くしたいと願った北斎は、究極には「光、水といった捉え難いもの」を描くことを目指したのだと言う。

 「甲州石斑沢」では、富士は彼方に天高く聳え、裾野は広がりを見せ、藍の濃淡で、夜明け前の薄明りの光の世界を著している。
 逆巻く怒涛の大波を遠望の富士とともに表現した「神奈川沖浪裏」。湖面の逆さ富士を描き、水を表現した「甲州三坂水面」など。

 「富嶽三十六景」の数々から、光、水を捉えようと挑んだ北斎の意図が見て取れる。

 「光と水」に挑んだ北斎の画技は、印象派の画家、クロード・モネにも通じるものだという。
 モネも光によって刻々と変容する世界を、「睡蓮」の連作などで表現している。

 モネのフランス・ジヴェルニーの家には、所狭しと浮世絵が飾られ、研究者によると、そのうち北斎の作品は22点、「富嶽三十六景」は9点あったとのことである。
 もちろん、「凱風快晴」「神奈川沖浪裏」「甲州石斑沢」も含まれていた。

 刻々と移りゆく光と水の世界。二人の巨匠が挑んだ世界である。


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葛飾北斎「神奈川沖浪裏」
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葛飾北斎「凱風快晴」

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葛飾北斎「神奈川沖浪裏」

【商品仕様】
技法 : 手摺木版画
彫師 : 前田謙太郎
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文化財保護法により「重要民俗文化財選定保存技術」として認定
用紙 : 越前生漉奉書紙
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      額  … 天地47.5㎝×幅62.6㎝
税込価格 … 30,240円
  
ご注文は → http://art-shuppankikaku.com/2_2.html





    

はじめは赤くなかった北斎の「赤富士」 ― 葛飾北斎「凱風快晴」

 葛飾北斎の富嶽三十六景の中で、最大の名画として名高い「凱風快晴」は、一名「赤富士」とも呼ばれている。
北斎は、赤、藍、緑の三色だけを用い、富士の威容を描いている。
この「赤富士」は、実は、はじめ赤くなかったということが、近年分かっている。

パリのギメ美術館が、所蔵している天保2年(1831年)頃の版の「凱風快晴」は、一般に私たちが見慣れているものと大きく違っている。

富士の山頂付近は茶色、代赭色(たいしゃいろ)が少し続き、オレンジ色が徐々に淡くなり稜線付近まで続き、裾野から広がる青緑色と溶け合った色彩に変化している。
背景の空の色も、はっきりとした藍色をしているのは、山頂より、かなり上の部分だけである。

このギメ美術館の版は、研究者により、稜線などの輪郭線、木目などから判断され、日本の東京国立博物館所蔵の版(天保2年頃)より、初摺に近いものであることがわかっている。

北斎の「赤富士」は、はじめは、鮮やかな赤ではなかったのである。

当初、絵師である北斎の意図どおりに、彫師により版木が彫られ、摺師が擦り重ねて色を出していたものが、やがて、客の反応を見ながら、資本を持つ版元が色調を変えていったのである。この時代には、しばしばあったことだという。

北斎が残した「赤富士」。早朝の日の光を浴びた、神々しい富士の姿を捉えている。


葛飾北斎「凱風快晴」
ご注文は → http://art-shuppankikaku.com/2_1.html



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